SDGs

ウポポイ 民族共生象徴空間_210727

アイヌの世界観、生活、産業の伝承を通して 現代に生きる人の価値観を問うきっかけに

民族共生を目的とした調査研究、普及のために2020年7月にオープンした国立の施設、ウポポイ(民族共生象徴空間)。博物館の展示や伝統芸能の実演、コタン(村)や植生の再現を通して、アイヌの世界観や生活、産業などについて学び、民族共生について考えるきっかけを与えています。

アイヌ文化を研究、伝承するため 設立された国立の施設

2020年7月に白老町にオープンした、ウポポイ(民族共生象徴空間)。アイヌの歴史や文化を研究し、次世代へ繋ぎ伝えていくためにつくられた、国立の施設です。国立アイヌ民族博物館と国立民族共生公園などから成り、テーマに沿った展示物や実演を通して、アイヌの世界観や歴史、文化を伝えています。北海道内の教育旅行の見学先としても注目されています。ウポポイでは、暮らしや生業、文化の伝承など多岐にわたるため、SDGsの目標についてもさまざまな要素が含まれています。 アイヌの歴史には、明治時代以前から和人が北海道に移ってきてから現在までの差別の歴史も含まれています。誘客広報課課長の西條林哉さんは、「SDGsの『誰一人取り残さない』という前提は、民族の差別がなぜ起こるのか、それをどう捉えるのかを考えることにも通じるものがあります。それぞれの年代で小学生ならではの悩み、中学生ならではの悩みがある中で、一人一人が違うアイデンティティーを持っていることに気づき、考えるきっかけになればと思います」と話してくれました。

写真提供:(公財)アイヌ民族文化財団

学芸員の矢崎春菜さん、誘客広報課課長の西條林哉さん

6つのテーマでアイヌの文化を紹介 国立アイヌ民族博物館

「イタク〜私たちのことば」「イノミ〜私たちの世界」「ウレシパ〜私たちのくらし」「ウパシクマ〜私たちの歴史」「ネプキ〜私たちのしごと」「ウコアプカㇱ~私たちの交流」の6つのテーマで、実際に使われていた生活の道具や解説パネルなどで、過去から現在のアイヌの文化を伝えています。ウポポイではアイヌ語を第一言語と位置づけており、博物館の展示にはアイヌ語の解説文や音声ガイドもあります。 アイヌ民族は、世界のあらゆるものにラマッ(霊魂)が宿ると考えており、その中でも特に生活に欠かせない存在や強い力を持った存在を、特にカムイ(いわゆる神)として敬っています。「そうしたくらしのなかで、男女の役割が分かれていることもありますが、過去から現代に向けて変わってきたこともたくさんあります」と学芸員の矢崎春菜さん。 アイヌ民族の視点から歴史や文化を紹介しており、アイヌ民族の居住地(北海道、樺太、千島、本州東北地方)に人類が住み始めた約3万年前から2020年までの歴史を、年表や地図で説明し、アイヌ民族が書き残した資料などを展示しています。 アイヌの文化や歴史は未だ解明されていない部分も多くありますが、博物館はウポポイにおける研究機関としての役割を担い、研究員・学芸員によって研究が進められています。 博物館内パノラミックロビーの大きな窓は鳥がぶつからない設計になっているなど、周辺の自然環境にも配慮しています。

SDGs 目標番号
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任、つかう責任
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

※この目標番号は「ウポポイ 民族共生象徴空間」として示したものではございません。

歌、舞踊を通し世界観を伝える 伝統芸能上演

儀礼や祭りの際に踊られる伝統芸能は、アイヌの文化の中でも重要なものです。公園内の体験交流ホールでは、歌や踊りなどの伝統芸能を実演しています。アイヌの伝統芸能は儀礼の他、遊びや仕事、育児など祈りや暮らしの中で、「カムイと共に楽しむ」という意味で演じられていました。伝承されたものをさらに即興で変化させ、いつの時代も新しい歌や踊りが生まれてきました。 学校団体向けのプログラムは、伝統的な歌や踊り、楽器演奏等を、最新の映像技術も交えて幅広く紹介する「シノッ」、伝統的な熊送りの儀式「イオマンテ」を軸に、ストーリー性のある舞踊と映像を通じてアイヌの世界観やカムイとの関係性を表現する「イノミ」を上演しています。

写真提供:(公財)アイヌ民族文化財団

SDGs 目標番号
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

※この目標番号は「ウポポイ 民族共生象徴空間」として示したものではございません。

アイヌの暮らしを体感できる チセや食、伝統工芸

公園内には他にも、チセ(家屋)群が再現され、アイヌの伝統的な生活空間を体感できる伝統的コタンの見学、工房で伝統工芸の制作風景の見学ができます(※)。 体験学習館では、アイヌの伝統的な食を昼食として実際に味わい、アイヌの食材や調理法、暮らしの知恵を学ぶことができます。敷地内には、アイヌの生活に関わりがある40種類の樹木や草花も植えられています。 ※工芸の体験等は、新型コロナウイルス感染予防のため中止しております。

写真提供:(公財)アイヌ民族文化財団

SDGs 目標番号
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任、つかう責任
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう
  • 平和と公正をすべての人に
  • パートナーシップで目標を達成しよう

※この目標番号は「ウポポイ 民族共生象徴空間」として示したものではございません。

※ウポポイの教育活動は、学校の学習内容に即したものになるよう先生と相談しながら実施しています。詳しくは施設ホームページを確認、お問い合わせください。

ウポポイ 民族共生象徴空間

住 所
白老郡白老町若草町2丁目3−2
ウェブサイトURL
https://ainu-upopoy.jp/